オーバーヒート対処法。ラジエターとリザーバータンクの関係

車のトラブルに遭遇する機会は正直多いものではありません。それ故、急なトラブルが起きると「どうしよう!」と慌ててしまいます。
今回はそんな車のトラブルで多い「オーバーヒート」について解説していきます。
オーバーヒートとは?
車はエンジンを回転させることによって動力を得ています。そして、この回転による摩擦熱からエンジン内部は1000℃以上もの高温になるのはご存知の方も多いと思います。
当然、高温のままエンジンを放置しておくと焼き付きなど不具合が生じますので、「LLC(ロング・ライフ・クーラント)」と呼ばれる冷却水を循環させて常にエンジン表面を80~90℃まで冷やしています。
しかし、冷却水が不足したり、冷却系統に何らかの不具合が生じるとエンジンは冷却されることなく異常な高温状態が続きます。これが「オーバーヒート」です。
ラジエターとリザーバータンクの関係
さて、オーバーヒートを防ぐためエンジンを冷やし続ける装置がラジエターと呼ばれる部分です。
このラジエター内部の冷却水が温められると熱膨張によって体積が増えラジエター内部から冷却水が溢れ出します。一方、冷やされると体積が収縮することからラジエター内部に冷却水を取り込もうとする力が働きます。
この膨張と収縮の力を吸収させるのがリザーバータンクの役割です。
そのため、わざわざラジエターのキャップを開けて内部を確認しなくても、リザーバータンクの冷却水量を確認すればよい構造になっています。
ただし、冷却水は膨脹と収縮を繰り返しますので、冷却水の量を確認するときはエンジンが冷えているときに行ないましょう。
また、通常はラジエターキャップを開けて内部を確認する機会はありませんが、もし、ラジエターキャップを開けて確認する必要がある場合は熱膨張による力によって蒸気が吹き出し火傷をすることもありますので、エンジンが冷えているときに確認しましょう。
オーバーヒートになったらどうするの?
エンジンを冷やすラジエターとリザーバータンクの構造を確認したところで、次に「オーバーヒート」の対処法を見ていきましょう。まず、車の警告灯が表示された場合、速やかに安全なところに停車させます。
このとき注意したいのが追突事故などの二次被害です。
三角表示板や発炎筒を使用し後続車に知らせるのはもちろんですが、高速道路であれば同乗者とともにガードレールの外側に出るなど、万一、追突事故がおきても巻き込まれない安全な場所に避難しておくことも大切です。
なお、三角表示板や発煙筒を設置する時に事故に巻き込まれるケースも少なくありませんから周囲には十分注意しましょう。
エンジンは切るの?
さて、オーバーヒートが発生したときにエンジンを切るのか? それとも切らないのか? これに対しては両論存在しますし、ケースごとによって対処法が異なるので一概には言えませんが、正直、悩むくらいならエンジンは切ったほうが良いと言えます。
と言うのも、単にアクセルワークなど普通に車を運転していてオーバーヒートに遭遇する確率は極めて低く、実際には「冷却水漏れ」「ラジエターキャップの不良」「エンジン系統の異常」など機械的な原因によって冷却効果が得られず発生するケースが圧倒的であるためです。
つまり、そのままエンジンを掛けっぱなしにしていても冷却される可能性は低いと言うわけです。
ちなみにケースごとに異なる対処法の一例としては、高速道路での長時間運転や山岳地帯の走行などで温度が上がっただけ(冷却水が適正値)であれば、エンジンを切らずに冷却装置を稼働させておいたほうが効果的と言われています。
やってはいけないこと!
オーバーヒートしたときはエンジンに限らず冷却水やその周辺も高温になっています。くれぐれもエンジンルームを開けて確認するときは火傷に注意しましょう。
また、ラジエター内部の冷却水は加圧され最高120℃ちかい温度まで上昇していますので、ラジエターキャップに触れるのは厳禁です。